やっぱり、叶わない恋だったんだなぁ。

ベットの上に座ってぼんやり考える。







分かってたことだけど…、覚悟してたことだけど…。

「やっぱりこたえるなぁ。」

私は思わず、声に出してつぶやいていた。





















きみを頂戴 vol.1




















親友のゆえが瀬戸くんと付き合うことになった。
瀬戸くんっていうのは、私の想い人。



瀬戸くんがゆえのことを好きだって分かっていたのに、
私は彼に惹かれた。




そう。
こうなることは、最初から分かっていたのにね…。















「慎吾のとこ、行ってこようかな。」

誰かに話しを聞いてもらいたくて、私は出かける用意をはじめた。



「お母さん、美沙子おばさんのとこ行ってくるね。」
「あんまり長居しないでね。」
「はーい。」


美沙子おばさんはお母さんの妹。
家が近いから、小さい頃からしょっちゅう行き来している。




おばさんのとこには私と同じ年の中3の男の子(慎吾)と
高3の女の子(美花ちゃん)がいる。
うちには私と大学1年のお兄ちゃん(悠)がいるから、
小さい頃は4人でよく遊んでた。













自転車を5分ほど走らせて、美沙子おばさんの家に到着する。
インターフォンを鳴らすと、慎吾がでた。


「よっ。どうしたの?」
「ちょっと、話きいてー。」
「なにかあった?」

そういいながら慎吾が玄関を開けて招き入れる。









家の中は静かだった。
月曜日の夕方。
この時間なら誰かいるはずなのに。



「誰もいないの?」
「うん、みんなでかけてる。」
「そう。」

リビングのテーブルの上には勉強道具が散らばっていた。




「勉強中だった?」
「ん?ああこれ?宿題。」
「ごめん。邪魔したね。」
「もう終わったから大丈夫。」


ちらっと見えたノートには慎吾の几帳面な字が並んでいた。
私にはちんぷんかんぷんな内容。
だって、慎吾ってば超頭いいんだもん。



「修学館の数学ってそんなことやるんだ。難しそう〜。」
「うちの学校は進度が速いからね。咲姫もそのうちやるでしょ。」
「うそ!無理!」
「わかんなかったら、教えてやるよ。」


そう言ってニヤリと笑う。


「そのかわり…。」
「はいはい。なんでもおごりますよ。」






最近、試験前になると慎吾のとこに駆け込んで、
勉強を教えてもらうことが当たり前になっていて、
お返しに私がなにか慎吾の欲しいものをおごる約束になっている。

おごるといってもたいしたものじゃないんだけどさ。
吉野家の牛丼だったり、マガジンだったり。
その程度。


「ところで、何かあった?」

ちょっと心配そうに慎吾が聞いてくる。





「シツレンした…。」

単刀直入に言った私を見て、絶句する慎吾。



「それは…。何て言っていいか…。」
「あはは、そうだよね。ごめん。」
「咲姫、好きなやついたんだ。」
「うん。でも、終わっちゃった。」
「学校の人?」
「うん。私の親友と付き合うんだって。」
「…。」
「分かってたことなんだけど、辛いよねぇ。」



ちょっと涙ぐんだ私をみて、慎吾が慌ててる。


「泣くなよ〜。俺どうしたらいいか分からなくなるだろ〜。」






普段の私だったら慎吾の前で涙ぐむなんてありえない。
弱いトコあんまりみせたくないから。
でも今日はダメみたいだ…。








「ごめ…ん。私帰る。」

涙の粒が慎吾にみえないように、さっと慎吾に背中をむけると
そのままドアまで走っていった。



「待てよ!」

慎吾が追いかけてきて、私の二の腕を掴んだ。
思わず振り返ると、すごく真剣な顔した慎吾がいた。



「咲姫。そんな顔して帰ったらおばさん心配するだろっ。」

ちょっと怒ったように慎吾が言う。




あっ。泣き顔見られた。
そう思ったら、恥ずかしくて俯いてしまう。



「咲姫、こっちきて。」

慎吾に手を引っ張られて、ソファに座る。
慎吾も私の横に座った。



慎吾の手が私の頬に触れて、涙を拭う。
そのしぐさに思わずどきどきしてしまう。



「し、慎…吾?」
「家、帰ってもおばさんいたら泣けないだろ?」
「う…ん。」
「泣きたい時は思いっきり泣いた方がいいんじゃない?」




そう言うと、慎吾の手がふわっと私の周りを包んだ。
突然の出来事に思考停止。
固まってしまった私に慎吾が言った。






「俺の胸、貸してあげる。ただし高いよ。」






おどけた口調で言う慎吾に
私はそのまま抱きついてわんわん泣いてしまった。





























うう〜。

一生の不覚だわ。
昨日の出来事を思い出すと赤面してしまう。



「咲姫、お昼たべよ。」

ゆえがコンビニの袋を持って近づいてくる。



「瀬戸くんと食べなくていいの?」
「いいよ、いいよ。向こうも今まで通り
 神谷くんたちと食べるみたいだから。」
「そうなの?てっきり一緒に食べるのかと思ってた。」
「付き合うっていっても、学校内でベタベタするのいやだしね。」


そういいながらおにぎりをぱくつくゆえ。


「今日、咲姫ぼーっとしてない?」
「そっそうかな?」
「うん、さっきも一点見つめてぼーっとしてたし。」


ゆえったら意外に鋭い観察眼だわ。








そうなのだ。
昨夜からずぅぅぅぅぅぅっと昨日の出来事が
頭の中でリピートしてとまらないの。
もちろん寝不足。



「ほらっ。またぼーっとしてる。」


我に返ると、ゆえが心配そうに顔を覗き込んでいた。


「ご、ごめん。ちょっと寝不足で…。」
「ほんとに?」
「ほ、ほんとっ。」
「何か悩み事があるんなら相談してよね。」



親友でしょ。そう言ってゆえが笑う。

そう…だよね。
親友だもんね。

相談すべきかなぁ。



「じ、実は…ね。」

こうして私は昨日のことゆえに全部話した。































お風呂から上がると、携帯の不在着信のランプが
点滅していた。

ゆえかなと思って見てみたら慎吾からだった。










………………。













見なかったことにしよう。


そのまま携帯をベットに放り投げようとしたら、
着信音がなった。




慎吾からだ…。




意を決して通話ボタンを押す。







「も、もしもし…。」
「あ、俺、慎吾だけど。今ちょっと出てこれる?」
「今?」
「うん。」
「無理だよ。もうお風呂入っちゃったし、パジャマだし。」
「じゃ、俺が行くよ。」
「えっ?」

そう言うなり電話は切れてしまった。






ピンポーン。
すぐに階下でインターフォンの音がする。
ま、まさか…。



「あら〜。慎吾くん。」
「こんばんは。咲姫います?」
「咲姫なら自分の部屋にいるわよ。勝手にあがってって〜。」





お、おかーさん。
あっさり通すなよっ!!


私のツッコミはもちろんお母さんに届くはずもなく、
階段を上ってくる足音が聞こえる。



「咲姫、開けて。」
「なんですぐ到着するのよ!」
「俺、頭いいからさ、咲姫の家の前で電話してたの。」

私は観念してドアを開けた。







「約束通りきてやったよ。」
「約束してないし。」

私がニラむと満足そうに慎吾が笑った。


「いつもの咲姫だ。」
「えっ?」
「昨日…。泣いてたから。心配だった。」


そう言うと、まだ乾いていない私の髪をぐちゃぐちゃっと乱す。

「もうっ!ぐちゃぐちゃにしないでよ〜!」

そういいながら、慎吾と普通に会話できてる自分にびっくりした。





なぜか慎吾は私のカバンから教科書とノートを出していた。


「何してんの?」
「ん?おばさんを心配させないように…ね。」
「は?」








「ジュース持ってきたわよ〜。」

お母さんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。
ちなみにうちのお母さんはお茶のこともジュースという。






「夜分にすみません。咲姫が明日テストって言うもんだから…。」
「いいのよ〜。慎吾くんのおかげで咲姫成績あがったのよ!
 これからもお願いね〜。」


おかあさんは上機嫌で部屋を出て行った。






「慎吾ってほんと悪知恵が働くよね…。」

私が半ば感心しながら言うと、

「誉めてくれてありがとう。」

嫌味っぽく慎吾が言う。

「さ、これで長居しても大丈夫だろ。」

満足そうに慎吾が言う。

「なんで長居すんのよ。」

嫌な予感がして、息を潜めて慎吾の次の言葉を待った。










「だって、交渉こじれそうだから。」
「交渉?」
「昨日のお返し何がいいかなーと思って。」
「昨日って…。お返しって…。」
「高いって言っといたでしょ。」
「う…。」



コトバに詰まった私をみて妙に嬉しそうな慎吾。



「吉牛でどうだ!大盛りにしてあげる!」
「やーだね。」
「じゃ、じゃあマガジン1か月分!」
「まだまだ。」

今月あんまりお小遣い残ってないんだよね〜。
こんな時に出費はイタイ。




「おいくら位をご要望デスカ?」
「咲姫はいくらまで出せんの?」
「ん〜。今月はあんまり余裕ないの。3千円までならなんとか。」

なんか強請られてるような気がする。




「3千円じゃーな。」
「ええっ!これ以上は出せないよ。」


いったい幾らぶん取るつもりなのよ!
さっきからの慎吾の強気な態度にだんだんムカツイてくる。




「俺さ、欲しいものがあるんだけど。」
「それなら最初から言ってよねー。それ高いの?」
「値段なんて付けられない物だからな。」
「何それ?」



ふいに慎吾が立ち上がって、私のベットに座りなおす。

「咲姫こっちきて。」
「うん?」



何も考えずにふらふら慎吾に近づいていったら、
慎吾の隣に座るように言われた。











「咲姫さ、失恋したばっかのところ悪いんだけど。」
「何よ。」
「俺、咲姫のこと好きだから。」


















「はいぃぃぃぃぃ!?」




















予想外のコトバにそんなマヌケな反応しかできなくて…。
慎吾の次の行動の予測ももちろん出来なくて…。





私はあっけなくベットに押し倒されていた。





「し、慎…吾?」
「ん?」
「な、な、なにしてんのよ!」
「俺、咲姫が欲しい。」
「…。」





絶句。







言いたいこといっぱいなのにコトバにならなくて、
ただ口をパクパクさせてるだけの私を見て慎吾が笑う。



「そんなにびっくりした?」

コトバにならなくてウンウンとうなづくだけの私をみてまた笑ってる。


「もらっていい?」
「だ、だめぇ。」


慌てて起き上がろうとするけど、慎吾に押さえ込まれていて
起き上がれない。




「ちょっとぉ。からかうのやめてよ。」
「からかってないよ。本気。」


本気って言われたって…。
そんなの無理に決まってるでしょうが。






「1万円以内ならなんとかするから、
 冗談言ってないで、欲しいもの考えてよ。」


自分の危機を考えて、思わず金額アップ。
お年玉崩そう。


「だって、咲姫以外に欲しいものはないから。」
「やだやだ。ぜったい無理。」
「じゃあさ、咲姫1万円分頂戴。」
「へっ?」



なにそれ?って言い返す間もなく、慎吾にキスされてしまった。










それは思ったより短くて、3秒くらいのキスだった。
もう、びっくりしすぎてなんと言っていいのか分からず、
ただ慎吾の顔を見つめるしかできなかった。






























次の日。

私はもちろん寝不足で、自分では分からなかったけど、
ものすごい顔をして学校についたらしい。


「咲姫…。なんか、あったの?」


教室に着いて早々、ゆえが心配そうに聞いてきた。
私はためらいながらも、昨日のことゆえに話した。


















「やっぱり慎吾くんは咲姫のことすきだったんだね。」
「やっぱりって…。ゆえ知ってたの?」
「昨日の話きいてなんとなくそう思ってた。」
「でも、私たち従兄妹だよ。」
「従兄妹だっていいんじゃない?結婚だってできるんだし。」
「でも、フツーは恋愛対象にならないよねぇ…。」


おもわずため息がでる。





慎吾はいつから私のことそういう風に思ってたんだろう?


私なんて能天気に慎吾に勉強教わってて、
ちっとも慎吾の気持ちに気付かなかった。


私のどこがいいんだろうか。

今日は一日中、慎吾のことで頭がいっぱいだった。



































それからしばらくは平穏な生活が続いていた。

慎吾から連絡もないし、このままほとぼりが冷めるまで
静かにしてようと思っていた。



ところが…。




「咲姫〜。ちょときて〜。」




お母さんがキッチンから呼ぶ声がする。
リビングでテレビを見ていた私はしぶしぶお母さんのところへ向かった。




「もう〜。いまテレビみてるのにぃ。」
「はいはい。くだらないの見てないで、これ届けてきて頂戴。」


お母さんの手には大きな紙袋が握られていた。


「なに?これ?」
「お惣菜いろいろ。美沙子のところに届けてきてね。」
「えええ!!やだよ。お母さん行って来て。」






うちのお母さん。
趣味が料理だったりする。

料理上手なのは嬉しいんだけど、時々こうして作りすぎて、
美沙子おばさんにおすそ分けしたりするのだ。



「おかあさん、これからサークルなんだもん♪」
「またなの〜。」
「今日はお母さんが当番だったから張り切って作りすぎちゃったのよ。」
「はいはい。」
「だから、よろしく。」


趣味がこうじて料理サークルなんてものにも入っていて、
そこで次々新作レシピを入手してくる。


お母さん言い出したら聞かないし、諦めて美沙子おばさんの家に
行くことにする。




今日は日曜日だから、みんないるだろうし。
慎吾とふたりっきりで気まずい思いをすることもないよね。























美沙子おばさんの家について、インターフォンを押したのに
反応がない。





えー。
誰もいないのかな?
こんなことなら家を出る前に電話すればよかった。


帰ろうと後ろを向いた瞬間、インターフォンが反応した微かな音がした。



「あれ?咲姫?」

聞こえてきたのは慎吾の声だった。

カメラがついてるから、私だってばれたらしい。
しょうがない。




「おばさんたちは?」
「さあ?俺、今まで寝てたからわかんない。」
「寝てたって…。もう13時だよ。」
「休みなんだしいいじゃん。」
「それよりちょっと待ってて。」


慎吾がドアを開けにくる。
思ったよりフツーに話せた。







慎吾が出てくると、私は紙袋を突き出した。


「これ。うちのお母さんから。お惣菜だって。」
「ん。ありがとう。あがってけば?」
「い、いい…。」
「そんな怯えなくたっていいじゃん。」
「怯えてないよ。用事はそれだけだから。」


そう言って、そそくさと帰ろうとする私の手を掴んで
慎吾が家の中に引きずり込む。




「ちょ、ちょっと。痛いよ。」
「だって、咲姫、俺のこと避けてる。」
「避けてないよ。」
「じゃあ、そんな逃げるように帰らなくたっていいじゃん。」


これ一緒に食べよ。
そう言って、リビングのソファまで引っ張っていかれた。



あんなことしといて、慎吾ってば前と変わらずに接してくる。
私なんか意識しまくりなのに。











ぅお!うまそー。
そんな歓声をあげながら慎吾が次々にタッパーを開けていく。


「あ!俺これ好きなんだ〜。」

嬉しそうに指差したのは鶏手羽と卵の煮物だった。


「私も!これおいしいよね!」

私も食べ物に釣られて、思わず笑顔になる。



その顔を見て、慎吾が言った。


「よかった、咲姫が前と変わらなくて…。
 咲姫怒ってるかなと思ってたから。」
「それって、この前のこと?」
「うん。」
「怒ってると言うかなんと言うか…。」
「怒ってないの?」
「んー。複雑すぎて上手くいえない。」


怒ってないと言えばウソになるけど、すごく怒ってるわけじゃないし。



怒り1割、驚き4割、困惑5割と言ったら、慎吾笑ってた。





二人で、お惣菜あらかた食べちゃって。
おなか一杯ですることなくてぼんやりしてたらふいに慎吾が言った。











「咲姫さ、この前俺が言ったこと覚えてる?」
「言ったこと?」
「うん。咲姫のことが好きだって…。」




もちろん覚えてますとも。



衝撃的でしたから。



でも、そうともいえず、


「うん。」

とだけ答えた。






「その答えって言ってくれないの?」
「答えって?」
「いや…。私も好きとかきらいとか…さ。」
「どちらでもない。」
「なんだよそれ〜。」
「だって、だって、私たち従兄妹どうしなのに。」
「従兄妹どうしだってべつにいいだろ。」


ちょっと怒ったように慎吾が言う。


「よくないよ。」
「なんで?」
「上手くいえないけど、なんかいけないと思う。」


私のハッキリしない態度に明らかに慎吾イライラしてる。



「従兄妹とか関係なく俺だけみて考えてよ。」
「慎吾だけ?」
「うん。」
「慎吾は…物心ついたときから一緒にいたから
 そういう恋愛対象にはなってなくて…。」
「男として見れないってこと?」
「う…ん。」






それはウソ。

だって、この前のキスではっきりわかった。
私は女で慎吾は男だってこと。
私を押さえつけた手の力も、もう敵わなかった。
私は子どものままで、いつのまにか慎吾だけ
男の人になっちゃったんだって怖かった。



急に慎吾が立ち上がって、私の前にくると私を抱き上げた。



「ちょ、ちょっと何するの!?」


じたばたする私に構わずどんどん歩いて、階段を上っていく。


「ちょっ。慎吾!どこいくの!?」

私の問いには答えずに、慎吾の部屋の前まできてしまった。



「覚悟はいい?」
「なにが!!」


焦って言う私に向かって、不適な笑みを浮かべて慎吾は言った。





「俺が男だってこと、教えてあげる。」






















部屋に入ると、慎吾は私をベットの上へ放り投げた。
慎吾の顔が真剣で、私は声が出せなかった。


Tシャツを脱いで上半身裸になった慎吾がベットに乗ってくる。


「な、何してんの・・・。」


どうにか声を絞り出したけど、それはとても小さな声だった。



「今すぐに俺を好きになって。そんなに長く待ってらんない。」

私の髪を撫でながらそんなことを言う。






優しい手つきにちょっと安心したけど、
これから私の身に降りかかるであろう出来事を想像し体が硬直する。




「慎吾ぉ。こんなのやだよ。」
「どうして?」
「もっと大人になってからすることでしょ。」
「じゃ、咲姫が今すぐ大人になって。」
「無理!」
「だって、俺もう我慢できない。」



そう言うと、慎吾のキスが私の頬に目に耳に降ってくる。
そっと触れるだけのキスは思ったより心地よくて、
体の力が抜けてしまう。



いつのまにか唇にもキスされて、徐々に舌が進入してくる。



「んんっ。はぁ。ん…。」

私の呼吸が乱れて、つい声がもれてしまう。


「咲姫、かわいい声だすじゃん。」

慎吾にそんなことを言われて、カーっと体中が熱くなる。



「ん…。や、ぁ。。。」

慎吾の唇が下に移動して首すじにキスされる。
今まで感じたことのない刺激に体がビクッとする。


「咲姫、首が感じるの?」
「や。やだぁ。」
「もっと感じて。」

そういうと首筋にキスの雨を降らせる。
想像以上の刺激が押し寄せてきて、体をのけぞらせる。



「咲姫、かわいい…。」

そういいながら、ワンピースのボタンに手がかかる。






「だ、だめぇ…。」

恥ずかしくて、慎吾の手の動きを止めようとしたのに、
逆に両手を押さえ込まれてしまった。



慎吾は片手しか使えないのに、器用にボタンをはずしていく。

胸元がはだけて、ブラが見えてしまう。



「や、やだよぉ。慎吾…。はずかしい…。」
「これからもっと恥ずかしいことするんだから、
 こんなところで恥ずかしがってたらダメだよ。」
「そういうモンダイじゃ、ない…。」




わけのわからない理屈を押し付けて、
慎吾の手がワンピースの中に入ってくる。

「ん…。や、やだ。あぁ。」



慎吾の大きい手がブラの上から私の胸を包む。


親指と人差し指で頂を刺激され快感の波が押し寄せてくる。



「んんっ。はぁ。ん…。やぁ。。。もう…やめて…。」

慎吾の右手がももの辺りを優しくなでる。


「きゃぁ。やん。やめ…。」
「やめていいの?」
「はぅっ。あぁ…。」


慎吾の手の動きに翻弄されて自分の体じゃないような感覚に陥る。











慎吾の手がショーツにかかったときに、














「ただいま〜。」

明るい声が二階に届いた。

















!!
美沙子おばさんだ!










「間の悪いやつめ…。」

慎吾が舌打ちする。







慎吾の動きが止まったことに気付いて、慌てて飛び起きて
服の乱れを直した。


「慎吾〜?いるの〜?咲姫ちゃんきてるの?」


おばさん、タッパーみて気付いたらしい。


「来てるよ!今勉強中だから、邪魔すんなよな!」
「はいはい。邪魔しないわよ。」


慎吾の超不機嫌な口調に、美沙子おばさんは二階にくることを
諦めたらしい。







「はぁぁぁ。」

思わず深いため息がでる。




「続き、する?」
「するわけないでしょー!ばかー!!」

私なんてまだ心臓がバクバクしてるのに、
慎吾ってば平気な顔してあほなこと聞いてくる。



「でも、俺の気持ちわかってくれた?」
「わ、わかったわよ。」
「だから、咲姫のこと頂戴。」


わざとらしい笑顔を向けながら、私に手を差し出す。
不覚にもその笑顔に吸い寄せられそうになる。


「や、やだってば!」

慎吾の手をビシッと払いのけてベットから降りた。




















「いつから…私のこと好きだったの…?」

ベッドの端に座り、慎吾と目が合わないように、
下を向いて聞いてみる。


たぶん私、耳まで真っ赤だとおもう。


「いつからかはわかんないなぁ…。」
「そう…。」
「でも、去年の終わりくらいから咲姫すごくきれいになったんだぜ。」






自分、気付いてる?そう言ってくすっと笑う。





「うそ。」
「ホント。咲姫も女だったんだなぁって改めて思った。」

去年の終わり…。
瀬戸くんを好きになったころだ。





「咲姫はのほほーんと、勉強しにきたり、遊びにきたりしてたけど、
 俺は理性と戦ってて大変だったんだからな!」
「そ、そんなぁ…。」
「この前、失恋したって泣いてた時に、このまま俺が何も言わなければ、
 咲姫は他の男のものになっちゃうんだなって思った。」




そんなの嫌だから…。




そう言いながら、慎吾の腕が私を包む。



「咲姫も俺を見てよ。」

私はつい、お母さんはどう思うかな〜とか、
お父さん反対しないかな?とか
周りの人の反応を気にしちゃう。


そんな私に気付いたのか慎吾が言った。







「親とか世間とかどうでもいいから、咲姫の本当の気持ち聞かせてよ。」







私の 本当の キモチ・・・。









「わかんないよ。でも、慎吾が他の人と付き合うのは嫌だと思う。」


そう言ったら、私をふんわりと包んでいた慎吾の腕が
ぎゅっと私の体を抱きしめた。



「それってスキってことでしょ。」
「私、ばかだからわかんないもん。」




私のコトバに慎吾が苦笑する。




「咲姫がわからなくてもいいよ。俺が分かってるから。」
「どうして?」
「だって行動で十分示してる。」








くすくす笑う慎吾。






「そんなに力いっぱい抱きしめられたら、誰だってわかるよ。」
「これはっ!!ちがうもん。」




慎吾の抱きしめられた反動で、
私も慎吾の背に手を回していた。





「俺は咲姫の考えてることなんてすぐわかるよ。」
「どうしてよ。」









「だって、ずっと見てきたから・・・。だから咲姫のこと頂戴。」









再び差し出された慎吾の手。




















迷いながらも、























私はその手を、




























受け止めた。
















・・・ end ・・・












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                    あとがき


    リニュ前からの掲載作品。
    結構人気なので手を加えて連れてきました。
    お互いに不器用だけど、ちゃんと前に進んで行こうとしてる
    二人を書きたかったのですが、どうでしょう?

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

    2005/6/6 執筆  2007/5/10 修正  さえ


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