陽平に連行されて私はバスルームにきていた。




















二人暮らし vol.3




















「ほんとに一緒に入るの?」
「いいだろ?」
「いいわけないじゃん・・・。」
「二人とも汗かいちゃったし、一緒に入ろうぜ。」
「別々に入ったっていいじゃん!!」
「一緒に入りたいの!沙奈と!」


陽平ってこういうとこほんとわがまま。



陽平は私の返事を待たずにさっさと自分のシャツに手をかける。
私も観念して、カットソーを脱ごうとしたとき、


「沙奈は待ってて。」


陽平がそう言った。



「なんで?」
「沙奈は俺が脱がすから。」
「えっっ!」


なにそのえっちぃセリフ!



真っ赤になって固まってしまった私を見て、くすくすと陽平が笑う。


「さっきの半脱ぎの沙奈もよかったけど、やっぱハダカも見たいじゃん。」


そう言いながら私のカットソーに手を伸ばす。


「い、い、い、いいよ。自分でやるから。」
「まーまー、そう言わずに。」



陽平は私の手を引いて洗面台の前に立たせると、自分は私の背後にまわった。
鏡越しに陽平が私を見つめてきて、その視線に捕らわれている隙に
カットソーの裾がゆっくりと持ち上げられた。


「見て、今から沙奈のこと脱がせてあげる。」
「や……。」


身を捩って抵抗を試みるも、あっさり陽平にかわされてしまう。
陽平はカットソーを胸の上まで持ち上げると、背後のブラのホックをはずす。
包み込むように胸を触られて、再びさっきリビングで味わった感覚が背筋を駆け上った。


「よ、陽平・・・。」
「どうしたの?感じてきちゃった?」
「ばか!いじわる!」


ゆでだこみたいに真っ赤な顔をした私が、鏡の中で陽平の手に弄ばれていた。


















先に陽平がバスルームに入って、シャワーのコックをひねった。
勢い良く撥ねる水飛沫が陽平の体に当たって流れ落ちる。


スポーツをしているだけあって、よくしまった陽平の体はきれいだった。
シャワーヘッドを直接顔へ向けて、その整った顔の上にも水の玉が転がり落ちる。
そして程よく筋肉がついた体の上も水のヴェールが包んでいく。


その様子がとても男らしくて、
男のセクシーってこういうことを言うんだろうな・・・。
そんなことを思いながら、私は陽平の後ろ姿をぼんやりと見つめていた。


「どうしたの?」


陽平が私の様子を鏡越しに見て、不思議そうに尋ねてきた。


「ううん。なんでもない。」


迂闊にも陽平に見とれてしまった自分を戒める。


「沙奈もこっちにおいで。」


私を手繰り寄せて、その腕に捕らえると、肩のあたりにシャワーをあてる。


「陽平、もう流したんでしょ?湯船に入ったら?」
「今日は沙奈に尽くすって約束したから、俺が沙奈のこと洗ってあげる。」


いいって言ってるのに、陽平はスポンジにボディソープを3プッシュものせて
泡立てはじめた。



すぐに大量の泡が出来上がった。
陽平はそれを掬い取ると、私の肌にのせていく。


「それ、ボディソープ使いすぎじゃない?」
「だって、泡いっぱいあったほうが沙奈恥ずかしくないでしょ?」
「えっ?う、うん。そうだけど。」


大量の泡を生産して、満足げな様子の陽平。




私の為に泡立ててくれただと思うと私も嬉しくなる。







「お客さん、どこから洗いましょうか?」

陽平が気取った口調で聞いてくる。
なんだかその様子がおかしくて思わず吹き出してしまった。


「沙奈〜。笑うなよな。真面目にお客さんやってよ。」


なぜか怒られてしまって、私はまたおかしくなる。


「だって〜。なんのお客さんなのよ〜。」
「お風呂屋さん。」
「お風呂やさんってこんなサービスしてるんだ〜。」
「今日だけなんですよ。お客さんラッキーですねー。」


ぷぷっ。
すっかりお風呂屋さん(?)になりきってしまっている陽平に
私も合わせてあげることにした。


「じゃあ、まずは背中から洗っていきまーす。」


そう言うと、陽平の持ったスポンジが私の背中を上下に移動する。
ものすごくやさしくスポンジで擦るので、くすぐったくてしょうがない。


「陽平、もっと力入れてよ〜。くすぐったい。」
「だって、沙奈の肌が傷ついちゃったらかわいそうだし。」
「大丈夫だよー。自分で洗うときはもっとごしごしやるもん。」
「でも、沙奈の肌ってすげーやわらかくない?ごしごしなんてしたらだめだよ!」


なぜか勝手にそう決めつけると、スポンジを足元に落とす。


「どうしたの?」
「手で洗うよ。それなら傷つかないだろ?」
「へっ?手?手って陽平の手?」
「他にないでしょ?」


そういうなり、陽平の手が私の背中に置かれゆっくりと動き回る。


「あっ!だめだめ!!こっちのほうがくすぐったいよ。」


そう言ってるのに、止まる気配のない陽平の動き。


「きゃ〜。やめてぇ〜。」

脇腹の辺りをなんども擦られて、耐えられずに悲鳴を上げた。











「今度は手出して。」

くすぐり地獄から開放され、半ばぐったりして陽平に手を差し出す。
陽平は指の一本一本まで丁寧に撫でていく。


その様はなんだかとてもエロティックだった。


指から腕へと移動してきた陽平の手が肩まできたとき、
次の行き先のことを考えて、どきどきしてくる。


でも、予想に反して、次の行き先は脚だった。


また、足の指一本一本まで洗い上げ、徐々に上に上っていく。
太ももを泡の上から撫でまわすその手は明らかに私の反応を楽しんでいた。


「…っぅ。……はぁ。」
「どうしたの?沙奈?」


いじわるく陽平が聞いてくる。


「なんでもない。」


今日の私、変だ。
だいたい陽平と一緒にお風呂に入ってる時点でだいぶおかしい。
すっかり陽平のペースに巻き込まれている自分を再確認する。



私、普段はこんなんじゃないもん。
絶対違うんだから!!





誰に対してのいい訳なんだかよく分からないけど、
とにかくこんな事態になっているのは自分のせいじゃないんだ
ということにしておきたかった。





「次はどこ洗ってほしい?さ、な?」

陽平の目が鏡越しに私にウィンクする。



ううう〜。
なんてやつ!!


そんなこと言える訳ないじゃん!




「も、もういい!もう出る!!」


立ちあがりかけた私の手を一瞬早く陽平の手が引っ張った。


「きゃっ。」

転びそうになって、陽平の腕に抱きとめられる。
と、同時に陽平の唇が重なった。


「ん…んぅ。ぁ……っん。」


泡だらけの私の体を陽平の手がまさぐる。

「っや。やめっ…。陽平…。」
「お客様、まだサービスは終わってないんですよ。」


ソフトな声とは裏腹に決して私の体を離そうとしないその手。



胸の上で尖った部分をいじめてくる。


「こんな洗い方はどう?」
「いや、いや〜。」
「じゃあ、こっちがいい?」


そう言って、足の間に指を滑り込ませる。
片手で器用にそこを押し開くと、突起を摘む。


「ひゃぁ…ん。っ……ぅはぁ。」
「ここも入念に洗おうね。」
「いやぁ。もういい!だめぇ…。」


徐々に激しくなる手の動きに、もう耐えられる自信はなかった。
その時が確実に近づいてくるのを知って、私は陽平の首に腕を巻きつけた。


「ぁぁん。よ…へい…。もうだめぇ…。」


陽平の腕の中で、私は今日2回目の絶頂を迎えてしまった。





















陽平はぐったりと肩にもたれかかっている私を立たせると、
シャワーを使って全身の泡を流してくれた。


「ちょっとあったまろう。」


そう言って、私を軽々と抱き上げると、ゆっくりと湯船に浸す。
湯船の中でも私は陽平に抱きしめられたまま、目をつぶってぼーっとしていた。





義理の兄妹とこんなことになってるなんて、自分のこの状態は不幸だと思っていたけど、
ただこうやって、陽平と肌を合わせているのは気持ちが良かった。


「沙奈、今何考えてる?」


陽平がポツリとつぶやく。



「私って、不幸なのか幸せなのかわからないなぁと思ってた。」
「俺も。」


ためらうように陽平が言った。





「好きな子がすぐそばにいてくれる幸せとその子が義理の妹だっていう不幸。」
「義理の兄妹かぁ。」
「手を伸ばしてはいけない人がこんなに近くにいるなんて試練だよな。」
「そんなこと言ったって、陽平、手出してるじゃん。」
「これでもずいぶん耐えてるんだよ、俺なりに。」
「そうは見えないな。」
「ホントは毎日、24時間沙奈と一緒にいたい。」
「・・・。」
「毎日沙奈を抱きたい。」
「なっ!そんなこと・・・。」
「わかってるよ。しないよ、安心して。」



ふぅとため息をついたあと、陽平の瞳はまっすぐに私を映していた。


















お風呂から出た後、どちらからともなく、私たちは手を繋いでいた。


二階の自室に戻ろうとする私を陽平の手が引っ張った。


「今日は一緒に寝てよ。何もしないから。」
「うん。」


素直に陽平の言葉を受け入れた。






お互い、やりきれない想いを抱えてるって分かってしまったから。

私たちはその日、初めて最初から一緒にベッドに入った。
そして、そのまま眠った。











触れ合っていないと、この複雑な気持ちに押しつぶされてしまいそうだったから。















・・・ vol.3 end ・・・












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                    あとがき


    vol.3 終わりました。
    ちょっとせつない系入ってきました。
    このあと、沙奈と陽平はどうなっていくのでしょうね。(←他人事かよ。)
    連載ではないのでいいか〜と思いつつ、早く続きを書くよう努力します。

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

    2005/6/21 執筆  2007/5/11 修正  さえ


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