学園中がふわふわと落ち着かない今日。




そう。


バレンタインデー。





天下の氷帝学園テニス部のモテ集団も
落ち着かないのは例外ではないらしい。















はじまりのうた

ちょこれいと大作戦!

















「これ、跡部さまに渡して〜!!!」
「きゃーーー!これもよ!」
「こっちは忍足くんにお願い〜!!!!」








なんであたしが・・・。




部室に辿り着くまでの間に、あたしの手に
たくさんのチョコが託される。




「あの〜、自分で渡したらどうですか?」
「だって、レギュラーのみんな、
今日は部室に閉じこもってでてこないのよ!」


閉じこもってる?!
教師公認でサボりかよっ!





「でも、渡せるかどうか責任持てないし・・・。」
「それでもいいわっ!」
「私もよ!とにかく少しでも跡部様の目に触れれば
 それで満足だわ。」



そうですか・・・。




「じゃ、そろそろ行くんで。」
「お願いね!」
さん!宜しく!!」



テニス部ファンの方々に見送られ、
あたしはなんとか部室に辿り着いた。











ガンガン!!!




「誰や?」
「あたし!。重くて死にそう・・・。」



あたしの言葉にドアが開き、
忍足先輩が顔を覗かせた。




「ぅわっ。ちゃん経由でぎょうさんきたで〜。」


無理やり持たされた紙袋5袋分のチョコを、
忍足先輩が受け取ってくれる。





「はぁぁぁ〜。重かった。」



ソファに倒れこんだあたしに、跡部のしらけた
視線が突き刺さる。



「な、何よ・・・。」
「お前、なんで俺らが今日ここに身を潜めているのか
 分かってるよな?」
「バ、バレンタインデーだから?」
「そうだよ。チョコ受け取るのがメンドーだからだ。わかるな?」
「う、うん。」
「それなのに、お前が運んできたら、俺らがここにいる意味が
 ないだろーが!!」




ひぇぇ。
そんな怖い顔しなくったっていいじゃんか。



「あ、あたしだって断ったんだよ!」
「でも、持ってきてんじゃねーか。」
「だって・・・、しょうがないじゃん・・・。」
「まーまー、跡部、そんくらいにしとき。
 ちゃんが悪いんやないし。」



忍足先輩が助け舟を出してくれる。



あたしたちが言い争いをしてる間に、
ジロたん、がっくんによって、
持ってきたチョコはしっかり仕分けされていた。



「はい、これ侑士の分ね。」
「はいはい、あんがとさん。」
「こっちは跡部。」
「いらねー。」
「せっかくみんな頑張って作ったんだよ。貰っときなって。」
「うるせぇ。」




あたしの言葉にぷぃと跡部がそっぽを向く。











「ねーねー、ところでちゃんからは?」



ジロたんがそんなことを言い出すものだから、
部室中の視線があたしに集まる。





「えっ?えっと・・・。ぶっちゃけ ない!」
「ええええええええ〜。」


ジロたんとがっくんがあからさまに落胆の声を出す。





「ご、ごめん・・・ね。だって、ジロたんとがっくんだけに
 あげるわけにもいかないし。一応平等ということで
 みんな なし。」
「平等にみんなに配りゃいいだろうが。」
「なっ、なんであたしが跡部にチョコあげなきゃ
 なんないのよ!義理だってごめんだね。」
「はぁ?他のやつらは義理で俺様が本命だろうが。」
「ね、あそこにいる俺様って頭おかしいよね?


あたしの問いかけに跡部以外の全員が頷く。



「てめぇら・・・。」


跡部がぶち切れそうになったその時、
またまたジロたんの爆弾発言が炸裂した。







「でも、ちゃんが昨日チョコ買ってたの
 俺見たんだけどなぁ〜。」
「ま、マジで?!ジロたんアレ見てたの??」



あたしの言葉に再び部室中の視線が集中する。



しまった。
墓穴ほっちゃったよぅ。



「な〜んてね・・・。ノリツッコミ・・・。






ごまかしてみたけれど、みんなのじとっとした
視線が痛すぎるっ。






でも、いくら頼まれてもアレだけは死守しないと・・・。

1粒600円もする超高級チョコレート。
5粒買ったから3000円もした。



というか、これを買ったばかりに、
みんなにあげるチョコを買えなかったんだけれども(爆)



でも、ほんとおいしそうだったんだもん。


あたしのチョコなんだから。
絶対に誰にもあげないんだから〜。(←せこい)










ちゃん、嘘はいかんで。」


忍足先輩の言葉に、なぜかみんなが一斉に動き出す。


「ぅぅぅぅうそなんて・・・。」
「宍戸、抑えとけ。」
「マジかよ・・・。許せ、。」
「は!宍戸先輩!」
「鳳と日吉は、のカバンの中探れ。」
「「はい!」」





まて?

宍戸先輩に加え、鳳くんも日吉も
跡部派に寝返るわけぇぇぇ〜!!!







「やーーーー!だめっ!開けるな!ばかチョタぁぁぁぁ!!」
「ごめんね、さん。でもさんからのチョコどうしても
 欲しいから。」


鳳くんも日吉も超真顔であたしのカバンの中を漁っている。



「おっ。」
「跡部先輩!発見しました!!」
「ごくろう、ごくろう。」



なーにがご苦労だばかやろう!




あたしの大事な大事な超高級チョコが
日吉の手から跡部へと渡されそうになる。



「だめだめだめーーーー!!!」




あたしは必死の思いで宍戸先輩の手から逃れると
跡部に向かってスライディング。



寸でのところで、日吉からチョコを奪い取り、
自分の胸に抱きかかえた。





「ずえっっっったい、あげないから!!」



涙目でしゃがみ込み、みんなを見回す。





「そ、そんな泣くことあれへんやん。」
「う〜〜。(←威嚇)」
「それ、誰にあげる予定やったん?」
「誰にもあげない。自分用だもん。」
「自分用!?」
「だって、おいしそうだったんだよぅ。」






あたしの発言に、部室の空気が緩む。



「お前は食い意地張りすぎなんだよっ。」
「だって好きなの、チョコ。一応みんなにあげようと思って
 チョコ売り場に行ったんだけど、チョコに囲まれてたら
 テンション上がっちゃって、いつもだったら買わないような
 超高級チョコ買っちゃって・・・。お金なくなっちゃいました。」
「アホだな、。」
「アホやわ〜、ちゃん。」
「アホって言いたくねぇけどアホだな、。」
「アホ以外の何者でもないな、。」
「アホだとは思いたくないけど、アホだよね、さん。」







みんな・・・、真顔でアホアホ言い過ぎじゃーー、ボケ!!








「まさか俺様にチョコを用意してないとは思わなかったぜ。」
「用意してると思う方が可笑しいと思いますが。」
「喧嘩売ってんのか?アーン?」
「喧嘩売ってんのはそっちでしょ!!」
「まーまー、そないにいがみ合わなくてもええやん、な。」




忍足先輩が仲裁に入る。





「この場を円満に収めるためにちゃんに一つ提案が
 あるんやけど。」
「なんですか?」
ちゃんの大事な大事なチョコゆうんはわかってるんやけどな、
 そのうちの一粒をこの中の一人にあげんねん。」
「ええ!!なんで?!」
「もちろん義理ゆうんはみんなわかってるから大丈夫やで。」
「何が大丈夫なんですかーーーーー!」
「でもそれだけやったらちゃんにメリットないと思うやん。」
「ええ。ホントに。」
「でも3月14日にはお楽しみが待ってんで。」
「あっ。ホワイトデー・・・。」
「そや。期待していいと思うで〜。」





忍足先輩のその言葉にあたしの期待が膨らむ。





「その話乗った!!!」
「「「「「「「よっしゃ!!」」」」」」」


 


あたしの一言になぜか部室内が盛り上がる。







ちゃん、この中から一人選ぶとしたら誰や?」






忍足先輩の一言に部室内が静まり返る。





なんでみんなこんなに真剣なんだよっ!







「んーー。んーーー。んーーーーー。
「早く選びやがれ!」



跡部のデコピンがあたしの額に炸裂する。





「痛ったーーーーーー!!!」
「悩みすぎだ、てめぇは!」
「跡部には絶対あげないって今決めた!」




あたしの言葉に絶句の跡部。




「やっぱあげるとしたらヒヨかな〜。」
「「「「「「日吉!?」」」」」」




あたしの発言に目を白黒させているヒヨ。




「うん。だってお隣さんのよしみでいろいろお世話になってるし。」
「世話になってるって何してんねん?日吉は?」
「時々、晩ごはんご馳走になったり、朝ごはんご馳走になったり、
 お昼ごはんご馳走になったり。」
ご馳走になりっぱなしじゃねぇか。」
「あはっ。まあね。だからヒヨかなって〜。」




チョコのラッピングを解きにかかったあたしに、
なぜか慌てるみんな。







ちゃん、ちょい待ってや。」
「?」
「それって日吉にお世話になってるっちゅうよりも
 日吉のお母さんにお世話になってるんちゃうの?」
「えっ?あっ、そうかも・・・。」
「それじゃあ日吉にチョコあげるのはおかしいよね?さん。」
「ん〜。鳳くんそう思う?」
「もちろん。」
「日吉にチョコやるんじゃなくて、
日吉の親に菓子折りでも持ってけって話だな。」






む〜〜〜。
確かに・・・。





結局ヒヨが一言も発する間もなく、
チョコはヒヨの手には渡らないことが決定した。





「じゃあ・・・、鳳くんにしよっと。
隣の席でお世話になってるから。」
「え!俺?マジで?さんありがとう!!」


めちゃめちゃ嬉しそうな顔して、
しっぽ振りつつあたしが包装を解くのを待っている鳳くん。



こういう素直なところが彼のいいところよね。
和むわ〜。




、ちょっとまて!」
「もう、なによ〜。」


今度は跡部があたしの行動を阻止する。



「今日は何の日か知ってるか?」
「ん?バレンタインでしょ?」
「もう一つあるんだよ。」
「え〜、何?」
「宍戸教えてやれ。」
「(何で俺なんだ?)こいつ今日誕生日。」



えええ!マジ?

そうだっけ?




「お、おめでとう。鳳くん。」
「ありがとう。」
「だからこいつにはチョコより誕生日プレゼントをやるべきなんだよ。」
「あ、そっかぁ。」
「い、いや。俺はチョコがいいなーなんて。」
「鳳。ふざけたことぬかすなよ。アーン?」
「そやで。チョコと誕生日プレゼント両方もらおうなんて
 考えん方がええで。」



跡部と忍足の目がキラーンと光る。





こ、後輩脅すなって!!!




「じゃあ、鳳くんには明日プレゼント渡すことにするよ。」
「そやな。」
「じゃ、ちゃ〜ん。俺!俺、立候補!チョコほC〜。」
「ジロたんならいっか。じゃ、ジロたんにしよ〜。」
「ちょい待ちぃ。」
「もう〜、さっきから何なんですか〜!」




さっきからことごとく止めに入る忍足先輩と跡部がほんとウザイ




「ジローはやめとった方がええで。」
「?」
「こいつの主食はムースポッキーやで。」
「は?」
「そんで趣味は睡眠やで。」
「ええ。」
「その上、チョコまであげたらどうなる思う?」
「さっぱりわかりませんが?」
「今流行のメタボリックや!!」
「意味わかりませんて・・・。」
「糖分取りすぎて糖尿なるかもしれへんで!」
「・・・・・・。」
「ジローはやめとき。」
「わかりました。」




なんだかんだ文句つけてくるから
嫌になっちゃう・・・。




「じゃあ、誰にあげればいいんですか!」
「そんなの、決まってんじゃねぇか。俺様・・・。」
却下!!!
「俺やね・・・。」
却下!!!
「即答やねんな・・・。ちゃん・・・。」



そんな打ちひしがれた目で見たって、
あげないもんはあげないんだよーーー。





あたしはくるっと向きを変え、
今まで静かに動向を見守っていた人に声を掛ける。




「宍戸先輩!」
「ぉ、ぉう。なんだよ・・・。」
「もう残ってるの先輩しかいないんで。(←さりげに失礼)
 先輩にあげます!」
「(やりぃ!)いいのか・・・。」
「いいですよ〜。そのかわりホワイトデー期待してますんで。」
「あ、ああ。」




ラッピングを取り外し、うやうやしく箱を開ける。


綺麗に並んだ5粒のチョコたち。

ツヤツヤとしてそのかわいいことこの上ない。



そのうちの一つをつまんで宍戸先輩の前に差し出す。






先輩、あーんして。
「え?あ?なにぃぃぃぃ?!
「だから、あーんして?」




耳まで真っ赤に染めて、宍戸先輩があたしを見てる。




「チョコ溶けちゃいますよ・・・。」
「いや、まて!?その・・・。」




言葉を詰まらせ、周りを見回す宍戸先輩。
じとーーーーっという周囲の視線が先輩に絡みついている。




「この環境でその要求は難易度ウルトラCだな・・・。






宍戸先輩がそう呟いた時、
あたしの手からチョコが消えた・・・。






あ!
「ねぇ、最初からこうすればよかったんじゃねぇ?」
「がっくん???」



いつの間にかいないと思っていたがっくんが、
まな板と包丁を抱え、あたしの手にあったチョコを持っていた。




「えーと何人いるんだ?7人?ほら。こうやってこうやって・・・。」
「ぅわわわわわわ!!!がっくん?!」




あたしの大事な大事な高級チョコががっくんによって
まな板の上で切り刻まれていく・・・。




「でーきた!ほい、7人分。」
「岳人、ナイスやで。あ、俺、一番大きいのな。」
「忍足さん!ずるいですって!!」
「鳳、誕生日だからってでしゃばるんじゃねぇ。」
「跡部さん・・・。」
「あっ、跡部なにすんねん。それ俺のやったのにぃ。」
「一番でかいのは俺様のだって決まってんだろ。アーン?」
「はい、宍戸さん。」
「ありがとよ・・・、長太郎・・・。
 (ホントは俺が全部食べるはずだったのに・・・)」
「日吉、食べないのか?」
「俺、甘いもの好きじゃないんで。」
「とか何とか言って、ほんまは食べたいんやろ?口開けぇ。」
「ぅわっ。忍足さん、無理やり何すんですか?!(甘ぇーーー!)」
「ジロー寝るな。のチョコだぞ。」
「ん〜。なんで〜?なんでこんなにちっちゃいの〜?
「いいから食え!気にするな!




がっくんの荒業に驚いてる間に、チョコは全員によって
食べ尽くされていた。




「もうーーーー!結局みんなで食べてんじゃん!!!」
「あくまで結果や。」
「こうなったらホワイトデー全員から貰うんだから〜!!!」






あたしだけ一人納得いかないまま、
こうしてあたしのバレンタインデーは過ぎ去ろうとしていた(悲)













・・・ next? ・・・











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                    あとがき


    バレンタインネタ。
    実はずいぶん前から考えていたお話です。
    (ええ、去年の5月くらいから・・・。先走りすぎ。)
    それにしても全員出てくると書き分けがムズイっす。
    そして例のごとく滝と樺地が出てきてない(苦笑)
    
    結局、ヒロインちゃんからのチョコは、
    1粒を7人で分けたのでほんとにほんとにちょびっとなのに、
    それでもいいからヒロインちゃんのチョコが欲しかった
    氷帝レギュラー陣なのでした・・・。

         2008/2/14  さえ


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