チュン、チュン。









ああ、ベタな朝の情景。


鳥の鳴き声で目覚めるなんて…。














目覚めるなんてって・・・・・・。



ヤバっ!!!!







あ、あたし寝ちゃったぁ!?













飛び起きたあたしの目に飛び込んできたのは、
ベッドの中のあたしとベッドに持たれかかる様に座ったまま寝ている
日吉の姿だった。















はじまりのうた 4

















なぜか繋がれているあたしと日吉の手。






窓から溢れる光で朝が来たのだと実感する。












昨夜、日吉といろいろしゃべってて、
死んでも寝るもんかと思ってて、
それなのにあたしは寝てしまったみたいで、
日吉もここで寝ていて。








朝がきて・・・・・・。



















なんであたし
まだここにいるのーーーーーーーーー!?











起きたらもとの世界に戻ると思ってた。




だって、夢でしょ?




夢だよね??








夢じゃないの?コレ。















あたし、あたし、ほんとにトリップしちゃったの〜?????



















日吉が朝練があるというので、少し早いが一緒に学校に行くことになった。


無言で歩くあたしたちの背後から
パタパタと走り寄ってくる(大型犬の)足音がする。





「おはよう、さん。」




にっこにこの笑顔。


パタパタと振られたしっぽが見えるようだわ。


「鳳くん、おはよう・・・。」
「浮かない顔してどうしたの?」
「いや、実は今朝起きたらヒヨが・・・。」
!!!!!!」





あたしの言葉を日吉が必死の形相で遮る。





「日吉がどうかしたの?」
「なんでもない!なんでもないんだよなっ!!」



ひ〜。
睨んでるよ、この人。

ものすごい目で睨んでマス。








「な、なんでもないや。やっぱ。」





余計なこというじゃないぞオーラを出しまくりながら、
日吉は鳳の腕を掴みさっさと先に行ってしまう。






どうせこんな早い時間に教室に行ってもしょうがないし・・・と、
鳳と日吉の後を追うようにあたしもテニスコートへと向った。




















カシャン。






フェンスを掴み、少し持たれかかって練習風景を眺める。








「早いな、お前。」
「宍戸先輩、おはようです。」
「ああ。」





ベンチに座っていた宍戸がわざわざフェンス側まで来て
声を掛けてくれる。






「そんなとこ居ないで、こっちくればいいじゃん。」
「でも、あたし部外者ですから。」
「昨日でレギュラー全員と顔見知りになってんだから、
 別に気にしないでいいぜ。」
「でも・・・。」
「跡部が気に入ったみたいだし、文句なんかいわれねぇよ。」





宍戸は自信ありげにそういうと、にかっと笑って、
あたしを手招きする。







跡部に怒られたって知らないからねー、と思いながら、
あたしはコート内に侵入し、ベンチに戻った宍戸先輩の隣に座った。









朝起きてから、ずっと考えている。

あたしは元の世界に帰れるのだろうか・・・と。







帰りたいわけじゃない。



むしろずっとここに居たいくらいだ。









わずらわしい親も居ない。




不登校なあたしを知っている人もいない。











はっきり言って快適だ。ここは。














ずっとここに居ていいのならどんなに幸せだろうと思う。






つまらない大人になることもなく、
ずっと中学生のまま・・・。












眉間に皺を寄せて考え込んでいるあたしを見て、
宍戸先輩が心配そうに声を掛けた。






「どうした?」
「えっ?」
「ここに居ていいのかどうかってぶつぶつ言って。」
「あ、あたし声に出してました??」
「ああ。」






ひ〜。

聞かれてたよ。

恥ずかしい・・・。





「なんでもないです。」
「それならいいけどよ。」





・・・と、正面に視線を向けた宍戸先輩の横顔を盗み見る。






そういえば・・・。


今朝の、日吉の手。








あったかかった。











ここってほんとに何なんだろう?



どこなんだろう?






みんな人間だよね?


ちゃんと立体だし。
動いてるし。


二次元じゃないことは確かだ。











心臓とかも動いてるのかな?








ふと浮かんだ疑問を解消しようと、
隣に居る宍戸先輩に狙いを定める。















ガシっ!



のわっっ!!!!!!







突然の事態に何が起こったのかわからない様子の宍戸先輩。








「やっぱ、あったかいや。ヒヨと一緒だ。」
「お、お、お、お、お、おい!!!!離せ〜!!!」






真っ赤になって慌てている宍戸先輩を気にせず、
あたしは先輩の心臓に耳を押し当てた。





ドクドクドクドク。






聞こえる、心臓の音。









生きてるってことだよね。









あたしは宍戸先輩をベンチに押し倒したまま、
心臓の音を聞き続けた。







安らぐ。





音。











なんか・・・眠く・・・なって・・・き、た。












「ぅおーーーー!!!寝るな〜!!














宍戸先輩の叫び声を遠くに聞きながら、
あたしは襲ってくる睡魔に身を委ねた。













・・・ next? ・・・











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                    あとがき


    宍戸っち災難ですね。
    宍戸も硬派キャラなので大好きです。
    どんどん振り回したいと思います!

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

    2007/5/12  さえ


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