「気ぃ、ついたか?」
「あっ。忍足・・・先輩?」


真っ白のふかふかベッドの中で目を開けたあたしに
ベッドに軽く腰掛けた忍足先輩が笑いかけた。















はじまりのうた 5

















ここ、保健室・・・かな?


なんであたしこんなとこにいるんだろ?





ぐるりと周りを見回した後、あたしは再び忍足先輩の顔を見た。






ちゃん積極的やな〜。純情ボーイが悶絶しとったで。」
「えっ?」
「ベンチで宍戸押し倒してたやろ?」




うわーーーーーーーー。


やばい。

誤解されてる。





あたしはガバッと体を起こすと、先輩に言った。





「違うんです!誤解です!」
「宍戸と何があったん?」
「な、何もないですよ。ちょっと素朴な疑問が浮かんで
 解消しようとしたまでです。」
「へ〜。どんな疑問なん?」
「ん・・・、あの、心臓・・・動いてるのかなって。」









あたしの言葉に忍足先輩は一瞬きょとんとした表情を浮かべた後、
爆笑し始めた。









ちゃんて天然さんなんやなあ。」
「いや、天然とかじゃなくて・・・。」
「心臓動いてへんかったら、生きてられへんやろ。」
「そうなんですけどー。生きてるのかなって思って。」



あたしの言葉に忍足先輩が固まる。






「いいキャラしとんねんな、ちゃんて。」



妙に感心したように先輩がいう。








全然会話が噛みあってねーーーー!!








「あ、あの、宍戸先輩大丈夫でしたか?」
「ああ、まだベンチで放心してんやないか?」
「迷惑かけちゃってすみません。忍足先輩がここまで
 あたしを運んでくれたんですよね?」
「そやで。宍戸の悲鳴が聞こえてベンチに行ってみたら
 ちゃんと宍戸のラブシーンやったから慌てて引き剥がしたんや。」
「ラブシーンって・・・。」
「そしたら、ちゃんすやすや寝てるもんやからびっくりしたわ。」
「なんか宍戸先輩の心臓の音聞いてたら眠くなってきちゃって。
 昨夜は寝不足だし。」
「まー、心臓の音は落ち着くいうしな。」
「そうですよね。」
「ほなら、俺のも聞いてみる?」






忍足先輩がテニスウェアに包まれた上半身をぐいっと近づける。





「えっ?そ、そんな・・・。いいですって。」
「遠慮せんでええって。」
「で、でも・・・。もう一応疑問は解決したんで・・・。」
「ええから、ほら。」




あたしは断りきれずに忍足先輩の胸に耳を押し当てる。





「心臓の音、聞こえとる?」
「はい。ドクッドクッって聞こえます。」




(やっぱ生きてるんだよね?)





拭いきれないその事実に、どう対処すればいいのかわからない。




ここは漫画の世界だと思ってた。



だけど、みんなあたしと同じように生きてる。


心臓も動いてる。




あったかい血の通う人間だ。






でも、ここはあたしの元いた所ではない。

























どうして、あたしはここに来たんだろう。
























そんなことを考えているうちに、忍足先輩の手があたしの背に回っていた。





ちゃんて彼氏おるん?」






唐突な質問に頭が付いていかなくて、
あたしは忍足先輩を見上げた。






「彼氏おるん?」




あたしを見つめながら再び質問してくる先輩。





「か、彼氏なんているわけないじゃないですか。
 それより後ろの手は何でしょう?
「ん?ま、ええやん。雰囲気作りや。」
雰囲気を作る意味が全く分からないので、
 速やかに手を離してください!!」





あたしの言葉に反抗するように先輩の両腕に力がこもる。




「なっ!ちょっと!」




先輩の腕を叩いてみてもびくともしなくて、
足をバタつかせてみても、下半身は掛布団の中で
あまり意味をなさない。





「彼氏いないんやったら、俺、立候補してもええ?」



耳元で囁く先輩の言葉に驚き、固まってしまう。






「立候補って、何言って・・・。きゃあ!」





あたしの言葉を遮るように、先輩はあたしをベッドに押し倒した。











「な、な、な、な、何して・・・。」
ちゃんを気に入ったっちゅうことや。」





気に入るのは勝手だけど、襲うなーーーーーー!!

そう思っても声が出ない。






真面目な顔した忍足先輩の顔が近づいてくる。








「もういやーーー!離して!!
 忍足先輩のばか!ばか忍足!エロ忍足〜!!」









ドカっ!!!!





全くその通りだな。」
「「跡部!!」」









いつの間に保健室に来ていたのか、
上履きを片手に持ち、仁王立ちしている跡部の姿がそこにあった。





「お前は油断も隙もないやつだな。アーン。」
「すこしは見逃したってや。」
「「見逃せるか!!」」




あたしと跡部が見事にハモる。






、お前朝から騒ぎを起こすな。」
「は!?騒ぎを起こしたのは忍足せんぱ・・・。」
「その騒ぎじゃねえよ。宍戸のほうだ。」
「ああ!そっちね。」
「そっちね、じゃねえ!ったく。」
「反省してますってば〜。もうテニスコートには近づきませんて。」






あたしの言葉に跡部の眉がピクリと動く。





「今日はたまたまヒヨと一緒に登校しちゃったから、
 暇つぶしにテニスコートに行っただけ。」
「日吉と?」
「そ、昨日一晩語り明かしたら、一緒に寝ちゃってて。」
「一晩・・・。」
「語り明かしただとぉ・・・!!!」
「「一緒に寝ただとぉぉぉぉ!!!!!」」
「明日からは別行動するし、もうテニス部には近づきませんから。
 んじゃ、お先に。」






スタスタと保健室を出て行くあたしに跡部が声を掛ける。




!放課後生徒会室にこい!話がある。」
「生徒会室?どこにあるか分からないから行かない!」
「おいっ!ちょっと待て!」
「やだ、待たない。さよなら。」





跡部の制止を振り切って、駆け出す。





もし、このままこの世界に居なくてはいけないのなら、
テニス部には近づかないほうが身の為だ。




跡部なんて特に・・・。


ファンクラブに睨まれたらたまらないもん。













・・・ next? ・・・











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                    あとがき


    エロ忍足始動です。
    おっしーはエロでなければ!と思います。

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

    2007/5/12  さえ


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