「樺地くん?」
「ウス。」
「あの、どこへ向かってるの?」
「ウス。」
何を聞いてもウスしか言わない樺地くんに担がれて(拉致られて)、
あたしは学園内のどこかへ向かっていた。
はじまりのうた 6
「今日からこのクラスに転入するさんだ。さ、自己紹介をしなさい。」
担任から言われ、あたしは固まった。
「・・・・・・・・・・・・。」
「どうした?」
「いや、あの・・・。」
苦手だ。
こういうの。
クラス全員の視線が痛い。
久しぶりの教室に緊張してしまう。
あまりの沈黙に静かだったクラス内がざわめき出す。
どうしよう。
何か言わなきゃ。
そう思えば思うほど、心臓の鼓動が早くなり、
血液が逆流したような感覚に陥る。
ガタっ。
真っ白になりかけた目の前を誰かが横切る。
「お、鳳。どうした?」
驚いた様子の先生の言葉に横を見ると、鳳くんが立っていた。
「えっと。 さんです。宜しくお願いします。」
なぜか横で鳳くんが頭を下げていて、あたしも慌てて頭を下げた。
ざわついていたクラス内にクスクスと笑いが起きる。
「なんだ、鳳の知り合いか?」
「ええ、まあ。」
「じゃ、席も隣でいいな。」
用意された机を一番後ろの鳳くんの席の隣に並べて、
あたしはようやく腰を下ろした。
「同じクラスでよかったね。」
「あ、あの。ありがとう。」
「ん?」
「さっき、助けてくれて。」
あたしの言葉に鳳くんがにこっと笑う。
「だって、俺、約束したでしょ?力になるって。」
人懐っこい笑みを浮かべた鳳くんの顔を見て、
緊張で強張っていたあたしの顔も自然と緩む。
「あと日吉もいるし、ほんとに何でも頼っていいから。」
鳳くんの指した先に日吉の後ろ姿が見える。
「ありがとう。」
鳳くんが同じクラスでよかった。
心の底からそう思った、不登校脱却第一日目だった。
「樺地。どうしたの?」
鳳くんが不思議そうに言った。
お昼休み。
鳳くんとしゃべっていたら、背後に大きい影が迫っていた。
「きゃあ!」
突然抱き上げられ、あたしは悲鳴を上げた。
「な、何してるんだ?樺地。」
「ウス。」
「まさか・・・。」
鳳くんが何か言いかけたが、樺地くんがドアへ向かって
動き出していて、上手く聞き取ることができない。
「樺地くん?」
「ウス。」
「あの、どこへ向かってるの?」
「ウス。」
肩に担がれ、ダッシュで連れて行かれた先は、
予想通りの生徒会室だった。
「おう!早かったな。」
「ウス。」
「樺地、お前はもう帰っていいぜ。」
「ウス。」
バタン。
とドアがしまり、生徒会室に重苦しい空気が漂う。
(あたしが重苦しくしてるわけだけど。)
「放課後にこいって言ってなかった?」
「拒否っただろうが。」
「当たり前でしょ。なんであたしが・・・。」
「お前に拒否権はねえって覚えとけ。」
なんでこの人はこんなに偉そうなんでしょう?
「跡部にお前呼ばわりされる覚えはないんですけど!」
「俺だってお前に呼び捨てされる覚えはねえな。」
「だって跡部は跡部じゃん。」
「忍足だって、宍戸だって、ジローにだって先輩ってつけてただろうが、
それなのになんで俺様だけ呼び捨てなんだよ。」
「あたしが誰をなんと呼ぼうと勝手でしょ。それにそっちだってって
勝手に呼び捨てにしてるし!!」
「俺様に呼び捨てにされるなんて光栄だと思え。
それから、俺様のことは今後景吾と呼べ。わかったな!」
「な、なんで名前で呼ばなきゃいけないの?!ずえったいや、だ!!」
「なんで俺様にだけそんな反抗的な態度をとるんだ?アーン?」
「その俺様な態度がムカつくからでしょー。」
跡部があたしの言葉に絶句する。
「お前・・・。」
「何よ。」
「ふっ。なかなかおもしれーヤツじゃねえか。」
「はあ?」
「俺様にそんな態度をとる女は初めてだぜ。」
「だから何よ。」
「、お前レギュラー専用のマネージャーになれ。」
は?
今、何て??
「今日の放課後からだ。わかったな。」
「分かるわけないじゃない!マネなんてやらないからね!」
ククッ。
喉の奥で跡部が笑う。
「決定事項だ。お前に拒否権はないっていっただろ?」
・・・ next? ・・・
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あとがき
俺様跡部の本領発揮。
手段は選ばずヒロインちゃんをマネにすることでしょう。
おお、コワっ。。。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
2007/5/15 さえ
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