「おお。やっと起きたか。」
「あ、あの・・・。あたし・・・。」
「新作はにはちょっときつ過ぎたみたいだな。」















はじまりのうた 10

















じゃあ飲ますなよっ!





あたし、汁飲んだ直後にぶっ倒れたらしい。

まだ少しふらふらする体でなんとか立ち上がると、
部屋のドアへと向かう。





「あたし、もう帰る。」
「なんだよ。もっとゆっくりしていけばいいのに。」




恐ろしくて、こんなところに長居はできませんて。






「もう少しここに居てくれれば、
 いいデータが取れそうなんだが。」





貞治の呟きは聞かなかったことにし、
あたしはさっさと貞治の家を後にした。













それにしても酷い目にあった・・・。






乾 貞治、恐るべし・・・。





胃の中にさっきのどす黒い液体が
まだ残っているかと思うと気持ち悪くてしょうがない。


でも、どうしようもない。




まだ寝るには早いけど、晩御飯食べる気も起きないし、
今日は寝てしまうことにする。




どうせ明日も朝練で早いもんね。



早寝早起き、健康!健康!!




ベッドに入るとあたしは瞬く間に夢の中へと
旅立ったのだった。
















自分の異変に気付いたのは朝練の時だった。








ちゃ〜ん。おはようさん。」
侑士様!!





侑士・・・?


様・・・??






な、な、な、な、何?!




「なんやて!?ちゃんもう一回ゆうてや!!」
「侑士様、おはようございます。」







まてまてまてーーーー!!

口が・・・、口が勝手に動くんですけど。





ちゃん、急にどないしたん?
 様づけなんてメイドさんみたいやなぁ。」
「侑士様のメイドなら喜んでv」




微笑みながら上目遣いで忍足先輩を見上げる自分に
寒気がする。





どうなっちゃってんの?
あたしの体。



忍足先輩はボーゼンとあたしの前に突っ立っている。




「侑士様?どうしたんですか?」


小首をかしげ、かわいらしく忍足先輩の手を握り、
左右に揺らしている自分。




だ、誰か・・・。




ヘルプミーーーー!!!!





ちゃん!!俺の気持ちやっとわかってくれたんやなぁ。」




そう言って、忍足先輩はあたしの手を握りなおすと、
ぎゅっとあたしを抱きしめた。






うぎゃーーーーーー!!!





やばいって!!
まじでやばいって!!!





心の中では超焦ってるのに、なぜかあたしも
忍足先輩の背に手を回している。












こんなに拒否ってるのに、
思うように動かない自分の体に困惑していたら、
スパコーンと誰かに後頭部を殴打された。





「イタッ!」
「朝っぱらから何してんだ?アーン。」
「跡部〜。ちょっとは手加減しいや。マジ痛いねんで。」
「跡部!邪魔しないでよね!!
「あぁぁぁ?!」






跡部が信じられないという表情であたしを見つめる。




「邪魔するなだと!」
「せっかく侑士様と二人っきりだったのに・・・。
 ねぇ、侑士様v」
「なぁ、ちゃんv」
「チョイ待て。おまえら・・・。」



怒りに満ちた表情であたしたちを見つめる跡部。




「なにがあった?」
「何にもあらへん。ついにちゃんも
 俺の魅力に気付いたっちゅうことやな。」
「お前はバカか?アーン。」



跡部はバッサリ忍足先輩を切り捨てると
あたしに向き直った。




、忍足に脅されてるのか?



憐れんだ目であたしを見ながら、
かわいそうに・・・と呟いてる。



脅されているというか、
むしろあたしからせまっているとも言えず、
でも、乾汁新バージョンが原因なのは確実だと
跡部に告げようとするのになぜか口が動かない。




あーーーー、もうっ!

何なのよぅ!!!



どうにも出来ないもどかしさで、
あたしは二人の前から猛ダッシュで逃げた。












脳内思考と行動が一致しないって
こんなに気持ち悪いのか・・・。



朝っぱらから忍足先輩とイチャイチャしてしまった自分に
自己嫌悪を抱きながら、クラスに入り、自分の席に着く。






まとまらない頭でどうしよう、どうしよう、と
考えていたら、朝練を終えた鳳くんがやってきた。


さん、おはよう。」
「鳳くん〜。」
「ど、どうしたの?」


泣きそうなあたしの顔をみて、びっくりした様子の鳳くん。




さんが朝練きてなかったからみんな心配してたんだよ。」
「行ったは行ったんだけどね。」
「?」
「ちょっと変なことになっちゃってて。」
「どうしたの?」
「言えないの・・・。」
「なんで?」
口が言うこと聞かないのーーーー!!





うわーーーん、と泣き出したあたしに相当ビビッたのか、
鳳くんがガタンと席を立つ。




「ごめん!俺、何か変なこと言っちゃった!?」


やべー、どうしよー、と鳳くんが呟く。



「日吉〜。助けてくれよ。」



前のほうの席で無視を決め込んでいた日吉を
引っ張ってくると、二人であたしを覗き込んでくる。




さーん。ごめんね。泣き止んでよ。お願い。」
「う、うん。こっちこそごめん。」


日吉がそっと差し出してくれたハンカチを借り、
あたしは涙を拭った。


「口が言うこと聞かないとはどういうことなんだ?」
「んっと、しゃべりたいことがあるんだけど、
 それを言おうとすると口が開かないの。」
「他の話は大丈夫なの?」
「うん。普通みたい。」
「「・・・・・・。」」



黙り込んでしまった鳳くんと日吉を前に、
あたしもどうしていいのかわからず黙り込んだ。








「忍足、いいからこいっ。」
「なんや〜、跡部はやきもち焼きか?
 素直に認めてぇや。」
「つべこべ言わずに来いよっ!」




廊下が急に騒がしくなる。
彼ら周りはいつもこうだ。




「あっ。先輩たち・・・、どうしたんですか?」



2年の教室に現れた跡部と忍足に驚きつつ、
鳳くんがそう問いかける。




に用があんだよ。」


跡部がそういうと同時に、あたしが(勝手に)叫ぶ。



侑士様!!
ちゃん、会いたかったでぇ。」



感動の再会とでもいうようにあたしたちはヒシと抱き合った。







おえええええ〜(涙)





あたしたちの様子にそこにいるみんなが一斉にざわめく。



っ!?」
さん!?」
「おかしいだろ?あいつ。」


跡部がボソリと呟いた一言に鳳くんと日吉がコクコクと
頷くのが見える。





「とにかく、こいつちょっと借りるぜ。」


忍足先輩と抱き合っていたあたしの二の腕を引っ掴み、
跡部があたしを廊下へと連れ出す。


「ま、待ってください!俺も行きます!
 ほらっ、日吉も!」



なぜか鳳くんと日吉までついてきて、
あたしたちは部室へと向かうことになった。













・・・ next? ・・・











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                    あとがき


    まだ続きます。
    先へそうぞ。


    2007/6/2  さえ


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