今日は10月5日。

嵐のような跡部様バースデーが昨日終了し、
ほっと一息ついた、そんなテニス部の午後のひととき。




ちゃん、お願い〜。」
「またぁ?ジロたんてばしょうがないなぁ。」



ジロたんのお願いが今日もはじまる・・・。















はじまりのうた
はにかみバースデー

















ほぼ日課の、ジロたんへのあたしの膝の提供。



つまり、膝枕






部活中だというのに、どういうわけか上手い具合に抜け出し、
あたしを見つけ、膝を要求するジロたん。


部誌を書いているあたしの膝の上に陣取って、
気持ちよさそうにすやすやと寝息を立てている。








かわいいなぁ。

先輩だし、男の子だけど、かわいいという言葉がぴったりだ。






時々寝顔を盗み見したり、ふわふわの髪を撫でたりしつつ、
あたしも部誌を埋めていく。





だって、一応仕事してないと大変なのだ。




うるさい人物が次から次へと・・・。










ガチャ。








ほら早速誰かきた。
















、ジローいるか。」
「あ、うん。ここに。」



自分の膝を指差し、跡部に答える。






今日は、跡部だったか・・・。


一番うるさい人に当たっちゃったよ。



ジロたんそろそろ起きないとやばいぞ。







「ジロー、部活中だぞ。起きやがれ!」


無理やり引っ張り上げ、上半身を起こすと、
パチンと指を鳴らし、後ろに控えていた樺地くんに
連れて行けと命令する。






強制連行か・・・。

ジロたんかわいそうに。



でも、この状況でもまだ寝ているジロたんも
ある意味すごい









「最近、連チャンじゃねぇか。あんまりジロー甘やかすなよ。」
「甘やかしてなんか・・・。」
「膝枕なんか気安くすんじゃねぇって言ってんだよ。」
「跡部には関係ないじゃん!そんなことで指図しないでよ。」
「お前はレギュラー全員のマネなんだろ?
 一人だけ特別扱いすんなっつってんだよ。」
「別に、特別扱いなんか・・・。」
「してないって言えるか?アーン?
 お前、俺様になんか絶対しないだろ?」
「は?」
「俺様が膝枕しろって言ったってしないだろ?」
「そ、そんなこと・・・ない!
 ってか、跡部は言ったことないじゃん!」




なんだか話が妙な方向へ進んでる気がするけどこれ幸いに、
あたしはちょっとした作戦を企てることにした。



それは、ジロたんの安眠を守るためと、あともう一つ。



跡部に対しての少し後ろめたい思いを解消するため。









あたしは意を決して跡部に言う。
















「跡部にも・・・、その、あの・・・、してあげるから!!
 そんなに怒らないでよ。」









その一言に、なんだかびっくりした顔で
跡部があたしを見つめている。



「ぁ、ああ?!俺は別にそういう意味で言ったんじゃ・・・。」
「はいはい、照れない照れない。それとも膝枕なんて
 跡部には必要ない?」
「い、いや。そんなこともないがな・・・。」



おずおずと近づいてくる跡部にあたしは膝を向けた。




「どうぞ。」
「お、おぅ。」



恐ろしくカチンコチンになりながら、
跡部があたしの膝に頭を預けてくる。




「痛くない?」
「ああ。」
「あたし、部誌書かなきゃいけないから邪魔しないでね。」
「ああ、わかった。」









カリカリとシャーペンの走る音以外聞こえない静かな空間に
跡部と二人取り残される。



目を伏せた跡部は眠っているのかどうか
わからない。



綺麗な横顔に見惚れそうになりながら、
あたしはそっと跡部に問いかけた。





「ねぇ、跡部。」
「なんだよ。」
「こんなこと言ったら跡部怒るかもしれないけど。」
「なんだよ。」
「今更だって怒らない?」
「だから何なんだよ?」




微妙に怒り口調になりながら跡部があたしの言葉を催促する。











「お誕生日おめでとう。1日遅れだけど。」











あたしの言葉を聞いて、跡部は
一瞬目を開き、でもすぐにまた閉じた。







「知ってたのか?」
「昨日アレだけ騒がれてればね。」
「そうか・・・。」
「ごめんね。何もあげられなくて。」



ふっ。
と、跡部が笑う。




「俺様はお前からプレゼントぶんどろうなんて
 思っちゃいねぇよ。」
「そ、そっかな〜とは思ったんだけどみんな何かあげてたし、
 思いっきり無視するのも悪いかなと思って。」



あたしの言葉に跡部が苦笑する。



「俺はな、が側にいればそれでいいんだよっ!」
「・・・・・・。」
「少しでも、俺様のことを考えてたことが分かれば
 それで十分満足だ。」
「・・・・・・。」
「こんなこと言うなんてキザな野郎だって思うか?」
「ふふ。ちょっとね。でも跡部らしー。」
「それ褒めてんのか?」
「一応ね。」




あたしの膝の上でごろんと跡部が寝返りをうつ。
下から見つめられて、戸惑いつつ、
あたしも跡部を見つめた。



「なあ。」
「ん?」
「これが誕生日プレゼントか?」
「うん。だめ?」
「いや、受け取ってやる。」
「もうとっくに受け取ってんじゃん。」
「お前がそんなこと考えてるって知る前だろうが。」
「そっか。」
「これにオプションつけろ。」
「なにそれ?」




跡部が自分の頬をちょんちょんと突っつく。



「ここにキスしろ。」
「えーーーーー!そんは横暴な!」
「ささやかな望みだろうが。」
「どこがささやかなのよ。」
「いいからとっととしやがれ!」



ぐいっとあたしの手首を引っ張り、
跡部の顔との距離が一気に近づく。




「してもいいけど、ジロたんのこと大目に見てあげてね。」
「なんでここでジローが出てくんだよ。」
「いいからいいから。あと、あたしはレギュラーのみんなが
 大事だからね。別にジロたんだけ特別扱いしてるわけじゃないよ。」
「ああ、わかったよ。」


ちょっとふくれっつらの跡部が返事をする。




「ジロたんじゃなくても誰にでも膝枕ぐらいするよ。
 あたしマネなんだし。」








そういった後、あたしは真っ赤になりながら
跡部の左頬にキスをした。








「でも、キスは特別。誕生日オプションだからね!」



















「なあ、侑士〜。なんで部室に入れないんだよぅ。」
「お子様にはゆうてもわからん理由や。」
「子ども扱いすんな!クソクソ侑士。」
「忍足さん、何時ごろになったら部室入れるんですか?」
「ん〜。当分無理やろな。跡部の為と我慢したってや、鳳。」
「跡部?跡部が部室で何かしてんのか?」
「理由は聞かんといてや、宍戸。」







(ま、今日だけは大目に見といたるで、跡部。)






部室の外で忍足先輩がみんなを足止めしていたなんて知らずに、
あたし達はしばし、ありそうでなかなかない
二人だけの時間を過ごしたのだった。













・・・ next? ・・・











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                    あとがき


    すごく久しぶりの更新のような気がしますが、
    きっと気のせいでしょう・・・。
    忍足が何気にいい人になってるのが笑える。
    堂々とサボる部長とそれを支える部員たち(笑)

    照れ屋な二人の頑張った感が出ればいいなと・・・。
    でも翌日にはいつもの調子に戻るヒロインなのですが。

    ハピバ!跡部!!

    2007/10/4  さえ


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