「どうして・・・、結婚なんてするんだよ・・・。」
キミの言葉が私を貫く。
散りゆく季節 1
「もっとこっちくれば?」
「い、いい。」
「怖いなら見なきゃいいのに。」
「怖くないってば!」
親友、菜々子の紹介で始めたカテキョのバイト。
菜々子の従弟、越前 リョーマくん(超生意気)の
勉強を見て欲しいってことで、私は三ヶ月前からこの家に
出入りするようになった。
中3、思春期真っ只中の男の子の相手をするってことで、
男兄弟もいないし、小学校から女子校育ちだしで、
かなり不安もあったんだけど、
菜々子もここに居候してるし、おじさま、おばさまも
いい人と聞いたし、社会勉強も兼ねて、
バイトすることにした。
帰国子女のリョーマくんは、英語は問題ないということで、
国語、数学をみてるんだけど、家庭教師なんて
つけなくても問題ないくらい、彼はよくできる。
「ねぇ、私って給料泥棒だよね。」
「そうだね。」
「ひっ、酷い。リョーマくん。」
「だって実際、今だって勉強しないでDVD見てるし。」
「そうなんだけど、ちょっとフォローしてくれてもいいじゃない。」
「なんで俺がフォローしなくちゃいけないの?」
ったく。
ほんと生意気なんです。
彼は・・・。
しっかりしてるって言えば聞こえはいいけど、
実際、どっちが年上だかわかんないくらい。
7歳も歳が離れてるのになぁ。
そんなこと、彼といると忘れてしまう。
テニスがすごく上手だって菜々子に聞いたし、
やっぱり、そういう確固たるものがある人は違うんだなぁ。
こっそり横顔を盗み見しつつそう考える。
「何?」
「えっ?」
「今、見てた。」
「見てないよ。」
「見てた。」
「見てない。」
「見てた。」
「見てない。」
「いいかげん認めたら。」
そう言うなり、リョーマくんの手が伸びてきて、
すごい力で私を引き寄せる。
「な、何して・・・!?」
「が正直に言わないからだよ。」
「ちょ、離して。大人をからかうのはやめなさい。」
「ふっ。大人ねぇ・・・。」
呆れたような声で呟きながら、
スルスルと私から彼の手が離れていく。
この細い体のどこにそんなパワーが潜んでいるのか
ホントに不思議だ。
「ねぇ、そろそろ勉強しようよ。」
「やだ。」
「リョーマくん、私の立場も考えてよ、ね。」
「だって、別に俺、成績悪くないのに。」
「そうだよね〜。そうなんだけど・・・。
私、これ以上給料泥棒になりたくないんだよぅ。」
ついに泣きついた私を見て、
リョーマくんはだるそうにDVDを消して、机に向かう。
「どれやればいいの?」
「えっと、これとこれとこれ。」
「こんなに?」
「大丈夫!リョーマくんなら出来る。」
ものすごく嫌そうな顔で、
私が広げた教材を見つめているリョーマくん。
「ほら、がんばって。」
「わかった。でも、これやったらなんかご褒美頂戴。」
「OK、OK。だからどんどんやっちゃって。」
終了時刻が迫っている。
少しでも教材を進めたくて、思わず彼の条件を飲んでしまう。
「ところでご褒美って何?」
「なんだと思う?」
その不敵な笑みは何なんだろう。
考えてることが全然読めなくて、正直怖い。
私がリョーマくん位のときはどんなこと考えてたっけなぁ。
「終わったけど・・・。!センセ!」
「ぉわっ。ごめん。ぼーっとしちゃってた。」
「まだまだだね。」
「スミマセン・・・。」
リョーマくんが仕上げたプリントの丸付けを終えて、
私は帰り仕度をする。
「全問正解だったね。やっぱリョーマくんにカテキョは
必要ないかもよ。」
「・・・・・・。」
「私からおじさまに話そうか?」
「いや、いいよ。それよりご褒美は?」
「何か欲しいものあるの?」
「キス。」
「キっ、キスーーー!?」
「うん、ここに。」
自分のホッペを指差しながらリョーマくんが
私を壁際に追い詰める。
「それは・・・、まずいでしょ・・・。」
「なんで?」
「一応、教師と生徒だし。」
「いいじゃん。禁断の恋。」
「だ、だめでしょ。禁断じゃ!」
「うだうだ言うなら俺からしていい?」
私の唇へと手を伸ばし、そっとそこをなぞっていく。
「ダ、ダメに決まってるでしょ!」
「じゃあ、早くして。」
「う〜。」
私を両手で囲ったまま、リョーマくんはじっと待っている。
やらなきゃ帰れないのかな・・・。
私は諦めの境地で、そんなに変わらない背丈の彼の頬に、
そっと唇を押し付けた。
「これで満足?」
「満足じゃないって言ったら?」
「ごめん、聞かなかったことにして。」
「ふっ。」
「笑うな。」
「ってホントに大学生?」
「うっさい。同じくらいの背の癖に。」
「あ、そういう事言うんだ。」
リョーマくんに睨まれ、自分の発言に後悔する。
「すぐに追い越すから待ってて。」
「なんで私が待ってなきゃなんないの。」
「いいから待ってろって。」
「やだ。」
リョーマくんの口癖をまねてそう言ってみる。
だって、待ってちゃいけないじゃない。
7コも年上なんだよ、私。
「待ってる。」
そう言う覚悟、私にはないよ・・・。
・・・ next? ・・・
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
あとがき
リョマ連載はじまっちゃいました〜。
中1じゃちょっと・・・なので、中3設定になってます。
ヒロインは大学4年の設定です。
このお話は、冒頭の「どうして・・・、結婚なんてするんだよ・・・。」
というセリフが浮かんで閃きました。
せつない感じのお話になると思うのですが、どうかな〜?
がんばってカキカキします!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
2007/6/13 さえ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::