「どうぞ。」
「お、お邪魔します。」



緊張しながら冬吾先輩の家に足を踏み入れる。





予想通りというか、やっぱりというか、
冬吾先輩の家はかなりの高級マンションだった。















散りゆく季節 7














「すごっ。」



リビングに入ってその広さに驚く。




「一応社長だし。」
「そ、そうですよね。」


そうだった。
この人は跡部財閥の関連企業の社長!


大学の先輩なんていう気軽な立場でいたけど、
何気にすごい人だったんだよね・・・。




ちゃん、ちょっと飲む?」


ワインのボトルをちょっと揺らして私に示す。



「じゃ、じゃあ、ちょっとだけ。」
「大学時代はよくゼミのみんなで飲みに行ったよな。」
「ええ、教授もワイン好きですもんね。」
「そう言えば、ちゃん、就職は決まったの?」
「それが・・・、まだなんです・・・。」
「この時期に決まってないと・・・、ちょっとやばいね。」
「そうなんです〜。」


友達も何人かは内定でているし、分かってはいたけど、
大企業の社長さんにそう言われてしまうと、
ずしーんと胸に突き刺さる。




「もし、決まんなきゃさ、俺んとこに来ればいいよ。」
「ええ!そんな!!先輩の会社なんて大企業だし、
 コネ入社なんてさせてもらったら悪いです・・・。」
「違くて・・・。永久就職。」
「永久就職って・・・?えっ?!はぁ?!」
「俺と結婚しちゃえばいいじゃん。」



先輩の言葉に驚きすぎて、口をポカーンと開けたまま
私は先輩を見つめた。




「ごめん。冗談ぽく言い過ぎた。ここからは真面目な話。」



先輩の声のトーンが変わった事に気付き、
私は体を強張らせる。







「俺、ずっとちゃんのことが好きだった。
 俺と結婚を前提に付き合ってください。」








ワインで酔ったわけでもないのに、
地面がぐらりと歪んだように思えた。






「せ、先輩?何言って・・・。」
「ずっと言いたかった。好きだって。」
「先輩・・・。」
「一生大切にする。ちゃんを傷つけるようなことは
 絶対しないって約束する。だから俺の側にいて欲しい。」




先輩のまっすぐな瞳がリョーマくんと重なる。


こんな時までリョーマくんのことを考えている自分に少し驚き、
そんな自分にためらいながら私は先輩と瞳を合わせた。






「ちょっと・・・、びっくりしすぎて・・・。」
「まあ、そうだよね。」
「ちょっと考えさせてください。」
「よかった・・・。考えてくれるってことは、
 一応望みありってことだよね?」
「いや、あの、その・・・。」
「期待してもいいかな?」




先輩の言葉が届くたびに、私の胸がズキズキ鳴った。




私、何言ってるんだろう?

考えさせてくれなんて言って・・・。




考えなくたって答えは決まってるのに。













・・・ next? ・・・










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                    あとがき


    ヒロインちゃんプロポーズされちゃいました。
    冬吾さんもこんなときに言わなくてもいいのに・・・。
    それともヒロインちゃんの隙をつく作戦でしょうかね?

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

    2007/6/22  さえ


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